さほろ酒造(上川郡新得町)/代表取締役 仲鉢孝雄さん (2)

北海道ならでは本格焼酎を造っていきたい

仲鉢さん

「さほろ酒造」は、私のほかに従業員が4名いるだけの小さな蔵です。季節毎に新商品を出したり商品を切り替えたりせず、定番の銘柄を大事に造って大事に売っています。仕込みは毎年11月から開始し、翌年の3月で終了。あとは熟成を終えた焼酎を、ボトルに詰める作業を不定期に行っています。

販売は問屋を通さず、私と営業が直接、酒屋や飲食店を訪問し、商品の説明をして歩いているんですよ。人との縁を大切に、お客さまと信頼関係を築いていけるよう努力しています。

焼酎をボトルに詰める作業(写真提供:さほろ酒造)

地道に販路を広げる中、酒屋からの反響が大きかったのは有り難いことでした。

北海道では、うちのような乙類(本格焼酎)ではなく、蒸留を何度か繰り返しクセのない味わいに仕上げた甲類の焼酎の方が多く売られているのですが、そのような環境だからこそ、「本格焼酎であることをウリにしたい」と言ってくださる店も多くて。随分、宣伝もしてくれました。

当蔵の焼酎は「量販店に並んでいないこだわりの酒」という位置づけにあり、なかなか多くの人の目に触れづらいところがあるけれど、最近では、こうした玄人向けの酒を置く店も多く、そこで知ってくれる人も増えてきたように思います。

あと個人的にあまり興味はなかったのですが、SNSを使ってみるとこれがなかなか良い。商品の顔が表に出るから便利ですね。宣伝になります。

直売店では飲み比べができるセットも販売しています

私たちの造る焼酎は、本場・九州の味と同じにしたいわけではなく、道産子の嗜好に合った焼酎を理想としています。北海道の酒蔵らしく、ほかではやっていない、淡白でありながらも風味を大事にした、うちだけの焼酎を造っていきたいですね。

(仲鉢さん談)