忽布古丹醸(ほっぷこたん)醸造(上富良野町)/代表取締役 堤野貴之さん(1)

忽布古丹醸醸造 代表取締役 堤野貴之さんに、話を伺いました。

プロフィール

堤野貴之(つつみのたかゆき)

1975年、北海道札幌市生まれ。大学卒業後、ビールの原料を扱う会社でビール造りを学び、カナダの醸造所での研修経験も。その後ノースアイランドビール取締役などを経て2017年に忽布古丹醸造株式会社を設立、2018年から製造を開始。オーナーブルワーも兼任。

上富良野町産ホップ100%のクラフトビールです

堤野さん

ビールの主原料となるホップは、そのほとんどを輸入に頼っていることもあり、ワインや日本酒の原材料に比べると、どんなものなのかイメージがしづらい農作物ですよね。

でも実は、十勝岳の麓に広がる上富良野町は、商用ホップが栽培されている北海道で唯一の産地。

十勝岳の伏流水という良い水があるし、「その土地のホップで醸す」というコンセプトが実現できそうな町だと考えた私は、畑の近くに「忽布古丹醸造」を設立し、私を含めブルワー5人の小さな工房で、同町産ホップ100%のビールを醸しています。

いってみれば、生産者の顔が見えるビールです。

 

ホップは乾燥保存が利くため、通年、醸造が可能ですが、収穫期である8月下旬~9月上旬の短い期間だけは、生のホップを使用できます。生ホップと乾燥ホップの違いは、ブドウとレーズンの違いのようなもので、みずみずしさも苦みも香りも異なります。この期間中に醸造したビールは、やわらかくやさしい味わいになりますね。

出来上がったビールの樽。ロゴマークはホップとアイヌ文様をイメージ

またホップそのものの味わいも、毎年変わります。ビールは原料の味が出やすいので、当然、影響はありますが、ワインのブドウと一緒で、毎年、違っているのが当たり前なんですよね。

苦みが強く出たり、香りがよかったり。その年ごとの味を楽しめるのも、地物のホップを使ったクラフトビールの魅力の一つ。将来は、モルトも含めた国内産原材料100%のクラフトビールを、通年、販売できるようにしていきたいですね。

(堤野さん談)