アイヌに伝わる秋の儀式カムイチェプノミ(旭川市)

石狩川をサケの狩場としていた上川アイヌに伝わる秋の代表的な祈りの儀式といえば、カムイチェプノミ。毎年9月に旭川市で開催されています。

カムイチェプノミとは、石狩川を遡上するサケを迎え、自然に感謝する上川アイヌの伝統儀式です。直訳すると「サケ迎えの祈り」。その年、最初のサケが姿を現したタイミングで行われていたといいます。

現在は、旭川チカップニアイヌ民族文化保存会、あさひかわサケの会、大雪と石狩の自然を守る会などで構成する実行委員会が開催しており、2019年は9月28日に行われました。

サケ迎えの祈りの様子

場所は、旭川市の神楽岡公園の忠別川河川敷です。

祈りの様子

厳かな雰囲気の中、ヌササン(祭壇)の前で火をたき、祈りの言葉をささげた後、神が宿るとされるイナウ(木弊)を忠別川に投げ入れ、サケや大自然への感謝の気持ちとしました。

かつて石狩川には、100万匹以上のサケが遡上してきたといわれています。昭和30年代には途絶えてしまいましたが、稚魚を放すなどの活動を通して、近年ではまた石狩湾から遡上してきたサケの姿が確認されています。

上川アイヌの心と共に、豊かな自然も後世に遺していきたいものです。

文)ライター孫田二規子