生態系を復元させる工法で大雪山の登山道を整備(3)

一般的な土木工事とは少し異なる「近自然工法」で、登山道を整備する「大雪山 山守隊(やまもりたい)」。岡崎哲三代表理事に、侵食を止めて生態系を復元させるという独特の工法や山とのつきあい方、上川アイヌへの思いを聞きました。

山守隊の活動を少しずつ広げていきたい

岡崎さん

山守隊には、整備を手伝ってくれる山守人(やまもりびと)というボランティア隊員がいるのですが、皆さんを見ていて思うのが、山を愛し、山のために何かしたいという気持ちを持っている人が、実はたくさんいたのだということ。

自分には、そのような方々の思いや活動の成果がさまざまな分野に伝わるよう、周知する役割もあると感じていますね。

山守人の活動をまとめた冊子も制作

山守隊では、「たまには山へ恩返し」というイベントを開催し、山守人たちと一緒に登山道の整備をすることもあります。作業の終わりには、みんなで懇親会をするのが定番です。

山に親しむには、登山やトレイルランニングだけでなく、〝山直し〟というジャンルもありますので、これを読んだ皆さまにも、ぜひ興味を持ってほしいですね。

一緒に活動してくれる仲間、募集中です!

下條さん

山守隊スタッフの下條です。山登りが趣味で、アウトドア関連のショップで働いていたのですが、「山を守る」という活動に興味が湧いて、2017年に入社しました。

(写真提供/大雪山 山守隊)

山を整備する作業は面白いし、その後の変化を見るのも楽しい。整備で訪ねた小笠原諸島は変化が早く、1年で新しい植物が生えてくることも多いですが、大雪山はゆっくりペース。新しく出てきた小さな芽などを見つけるとうれしくなります。長い目で見守っていきたいですね。

(写真提供/大雪山 山守隊)

山守人の皆さんは、「参加してよかったよ」と言ってくれる人も多く、こちらも有り難い気持ちです。私たちと同じ思いでいる人はたくさんいるんだと励みになりますね。

一緒に活動してくれる人、募集中です!

(聞き手/ライター孫田二規子)

取材を終えて

筆者も趣味で登山をするため、今回の取材はとても勉強になり、また「近自然工法」や岡崎さんの考え方にとても共感できました。

「近自然工法」は、夢がありますね。私もいつか、山守隊として整備に関わってみたいです。

取材のあと、取材チームで「登山者のみなさまへ」(大雪山国立公園連絡協議会発行)という冊子を見たところ、「登山道」という箇所には、
「登山用ストックの先端部に保護用キャップを付けましょう」
「登山道外にストックを突かないようにしましょう」
「登山道内を歩きましょう」
などと書かれていました。

山はみんなのものです、共有財産です。私たち登山者一人一人も、山を自然を後世に遺すために、ルールをしっかり守って楽しまないといけないな、と改めて思いました。

一緒に気をつけていきましょうね!

 

一般社団法人 大雪山・山守隊
北海道上川郡当麻町伊香牛1区
電話:0166-56-9160