髙砂酒造(旭川市)/製造部部長兼杜氏 森本良久さん(1)

髙砂酒造 製造部部長兼杜氏 森本良久さんに、話を伺いました。

杜氏プロフィール

森本良久(もりもとよしひさ)

1969年、北海道河東郡士幌町生まれ。帯広畜産大学を卒業後、91年に日本清酒株式会社に入社し、名工と呼ばれた故・津村弥杜氏の下で酒造りを学ぶ。その後、2008年に高砂酒造株式会社に入社。杜氏を務める。

酒米生産者と共に旨い酒を造る

森本さん

大雪山山麓の上川盆地に位置する旭川は、4本の河川が流れる水に恵まれた地域です。中でも「髙砂酒造」の味を生み出している仕込み水は、忠別(ちゅうべつ)川流域の地下水。適度にミネラルを含む中軟水でクセがなく、おいしい酒が出来る水です。

 

どの酒にもこの水を使っており、代表銘柄は「国士無双」「旭神威(あさひかむい)」「 大雪(たいせつ) 雪中貯蔵」。それぞれ少しだけ説明をさせてもらいますと、「国士無双」は1975年に誕生した歴史ある銘柄で、キリッとした辛口の端麗な味わいが特長。この伝統の味を毎年変わることなく出し続けることが、ファンの皆さまに応えることになると思っています。

地域で愛されるロングセラー「国士無双」(写真提供:髙砂酒造)

また「大雪 雪中貯蔵」は、お隣の美瑛町の雪の中で熟成させる、雪の多いこの地域ならではの酒。生酒の入ったタンクを雪で埋め尽くし、雪が溶けるまで置いておくんですよ。

「大雪 雪中貯蔵」シリーズ。左の純米酒は夏季限定、右の純米吟醸酒は北海道限定で販売(写真提供:髙砂酒造)

そして「旭神威」は、兵庫県産の酒造好適米「山田錦」を原料とした酒。これは私たち作り手にとっては、「最高の酒米で最高の酒を造ろう!」という腕試し的な酒であり、毎年、力が入りますね。

「去年よりもっと良い酒を」と毎年さらなるおいしさを目指しているという「旭神威」(写真提供:髙砂酒造)

このほか当蔵で使っている酒米の9割は北海道産で、主に旭川市内や愛別(あいべつ)町や当麻(とうま)町といった旭川近郊でとれるものが中心です。使用品種は「吟風(ぎんぷう)」「彗星(すいせい)」「きたしずく」。どれも酒米の風味がしっかり出るタイプではなく、出来上がりは端麗な味わいになりますね。

私たちは、これらの酒米を作ってくださる生産者の方々との交流や意見交換をする時間も大事にしており、地域に根ざした地酒蔵として、生産者さんと一緒に旨い酒を造っていきたいという思いを持っています。理想は「良い酒米、良い酒、良い関係」かな。
(森本さん談)